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相続・遺言・離婚・借金問題を解決する熊本の「弁護士法人ときわ法律事務所」

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2021年10月01日 遺産分割

Mさんは一人っ子で、お母さんは10年前に亡くなっています。
数か月前にお父さんが亡くなりました。Mさんは相続関係の手続を進めるために戸籍謄本を取得したのですが、ここで初めて、お父さんはMさんのお母さんとは再婚であったこと、前妻との間に2人の子供(AさんとBさん)がいたことを知りました。
お父さんと前妻さんは、子供たち(AさんとBさん)がまだ幼いころに離婚しており、子供たちの親権者は前妻さんですが、離婚しても、親権者が前妻さんであっても、AさんとBさんがお父さんの相続人であることに変わりはありません。法定相続分も平等に3分の1ずつです。
当事務所に相談にみえたMさんは以下のようにおっしゃいました。
①とてもびっくりしたけれど、遺言があるわけでもないし、法律に従えば平等に分けるべきだということも理解しているので、きちんと3分の1ずつ分けたい。
②ただ、自宅(実家)はお父さんとお母さんが結婚後に建てたものであり、Mさんとしても思い入れがあるので、Mさんが単独で相続したい。
③また、存在すら知らなかった兄や姉と直接連絡をとることには抵抗があるので、全てお任せしたい。

幸い、お父さんの遺産は概ね以下のような内容でしたから、子供たち一人ひとりの取分は2000万円ずつとなり、Mさんが一人で不動産を相続しても「もらいすぎ」とはなりません。
不動産…1500万円
預金 …4500万円
Aさん・Bさんにお送りするお手紙の内容は、Mさんと相談しながら作成しました。
遺産目録を添えて「Mさんは不動産と預金500万円、AさんとBさんは預金2000万円ずつを取得する内容で、遺産分割を行いたい」というお手紙を送ったところ、一か月ほどしたころ、AさんとBさんから回答をいただきました。Aさんは「Mさんの提案どおりで構いません」、Bさんは「私は何もいりません」というものでした。
Aさん、Bさんのお二人とお話ししたところ、Bさんは「私は遺産のうち3分の1をお金で受け取れたらそれで十分です」とおっしゃり、Aさんも「私の相続分をBさんに譲る」といったことはおっしゃらなかったため、「Mさんが不動産と預金2500万円、Bさんが預金2000万円を取得する」という内容で、遺産分割協議が成立しました。

(当時を振り返って)
親御さんが亡くなり、相続手続のために戸籍を取得したことで初めて「実は両親は再婚で、母親(または父親)の異なる兄弟がいることを知った」という方は、意外といらっしゃいます。
また、「お父さんが結婚した女性はお母さんだけだが、お母さんではない別の女性(いわゆる浮気相手)との間に子供がいて、認知をしていた」とわかるケースもあります。
ご両親が離婚をしていても、親子関係がなくなるわけではありません。「前の奥さんの子供」にも「今の奥さんの子供」にも相続の権利があり、その割合も平等です。
なお、平成25年(2013年)までは、非嫡出子(結婚していない男女の間に生まれた子供)の相続分は嫡出子の半分とされていましたが、現在は平等です。

存在すら知らず、会ったことも話したこともない兄弟を相手にお金や財産の話をするのは、赤の他人を相手とする以上にやりにくく、悩んでしまうことと思います。
「もしかしたら、私のことを恨んだり嫌っているかもしれない」、「たくさんお金を要求されるかもしれない」、「連絡をしても無視されるのではないか」など、疑心暗鬼にもなりがちです。
ただ、実際に連絡をとってみると、すんなり話がまとまったり、Mさんのケースのように「私は何もいりません」と言われることもよくあります。行き来がなかったので、これまで揉め事が起きることもなく、相手を悪く思うような原因もないため、むしろ「赤の他人」と近い感覚で、感情的にならず対応できる面も、あるのかもしれません。
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