先日，久しぶりに「当番弁護士」として接見をしてきました。
「当番弁護士」は，逮捕された人が弁護士を呼ぶことのできる制度です。「当番弁護士」の制度を利用できるのは１回のみですが，無料です。旅費などの実費も一切かかりません。ただ，「この人に来て欲しい」といった指名はできず，その日に待機している弁護士が向かいます。依頼を受けてから２４時間以内に面会をする決まりにもなっています。

「これからどうなるのか」，「刑務所に行くことになるか」，「取調べでこんなことを言われたが，本当か。どうしたらいいか」といった質問を受けたり，「こういったことができますよ。こんな権利がありますよ」と説明したり，「家族に連絡を取って欲しい」といった頼みを受けたり…といったことが想定されますが，実際に行ってみると，「そういう制度があると説明され，利用したいかと聞かれたので『はい』と答えたが，特に用件はないです」と言われることもあるし，「一人暮らしなので，家に置いてきたペットが心配。餌をやりに行って欲しい」，「着るものがないので，家に衣類などを取りに行ってもらえないか」と頼まれることもあります。
「弁護士に来てもらって，何を聞きたいのか？何を頼みたいのか？」を事前に問われることは絶対にありませんし，「用件によっては行きません」とお断りされることもありません。 逮捕された人自身は「特に聞きたいことも頼みたいこともない」，「こういうことは弁護士には頼めないだろうから，来てもらっても仕方がない」と思っていたとしても，実際は「説明を受けておいた方がよいこと」，「頼めること」があったりしますし，弁護士との面会や交流（手紙のやり取りなど）には捜査サイドは立ち会うことができず「秘密」が守られる決まりなので，「呼ばれたらとにかく行って話をする」。

とはいえ，頼まれたことに何でも応じるわけではありません。
友人の〇〇に連絡をして，預けているものを処分するよう伝えて欲しい」といった証拠隠滅が疑われるような話はお断りしますし，鍵を預かって家に入るといったことも，後々「証拠となる物を持ち出した」などと疑いをかけられたり，「大事な物がなくなった・壊れていた」として窃盗や器物損壊の疑いをかけられるリスクも考えて，基本的には応じられません。後者の場合，「そういったことを頼めるご家族やご友人はいませんか？連絡先を教えてもらえたら，私から電話をして頼んでみます」といった対応をしています。

理由や用件を問わず，１回は無料で弁護士と面会できる「当番弁護士」。
逮捕された本人だけでなく，家族が頼むこともできます。土日や祝日，お盆，年末年始でも繋がります。

（熊本県弁護士会　逮捕・刑事事件のページ）

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