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相続・遺言・離婚・借金問題を解決する熊本の「弁護士法人ときわ法律事務所」

相続・遺言・離婚・借金問題を解決する熊本の「弁護士法人ときわ法律事務所」

2020年04月11日 相続・遺言

相続に関して「期限」があるものとしては,家庭裁判所で行う「相続放棄」の手続があります(税金の関係では,相続税申告や,亡くなった方の準確定申告があります)。

相続放棄をする場合,「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3か月以内に,家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する方法で,行わなければなりません。
これは,「亡くなった時から」ではありません。
「もともとは法定相続人ではなかったが,法定相続人(たとえば,亡くなった方の配偶者や子供など)が相続放棄をしたことで,自分が相続人になった」という場合,「もともとの法定相続人が相続放棄をし,そのこと(=自分が相続人になる)ことを知った時」から3か月以内であれば,相続放棄ができます。
また,「疎遠にしていて,亡くなったことを長く知らなかった」という場合,「亡くなったことを知った時」から3か月以内であれば,相続放棄ができます。ただ,「知らなかった」ことや,そうなった事情について,ある程度の説明が必要になるでしょう。
なお,法律的な知識がなく,「民法の規定上,自分が相続人になることを知らなかった」という場合や,「相続放棄という手続があることや,相続放棄は3か月以内に行う必要があることを知らなかった」という場合,「法律的な知識を得てから3か月以内であれば,相続放棄ができる」とはならないので,この点は注意が必要です。

この「3か月」という期間は「熟慮期間」とよばれます。
「相続」というのは通常,身近で大切な存在であるご家族が亡くなることが発端ですから,しばらくは動転して,財産や遺産について考えるどころではない…ということもあるでしょう。
また,配偶者や子供であっても,亡くなった方に「どういった財産があるのか?」,「ひょっとしたら借金を抱えてはいないか?」を全く知らない…ということもよくあります。こういった場合は,まずは遺産について調べないと,相続をしてよいのか,相続放棄をした方がよいのかが,判断ができません。
そのため,「熟慮期間を延長して欲しい」と求めることができることになっています。
「遺産の調査を行っているところだが,新型コロナのため,預金のあった銀行などに出向くことが難しく,調査がはかどらない」といった理由であれば,認めてもらえる余地はあるでしょう。

ただ,相続放棄にあたり家庭裁判所に提出する書類には,亡くなった方の財産について記載する箇所があるのですが,「相続放棄を行う上で,遺産の調査が不可欠」ということはありません。
「どんな遺産があろうとも,相続はしない」と決めている場合は,遺産の調査などせずに,相続放棄の手続をとっても構いません。

なお,「後になって,実は莫大な遺産があるとわかったから,相続放棄を取り消したい。遺産を相続したい」と思っても,相続放棄は基本的に,取り消したり撤回することができません。そのため,「3か月の熟慮期間が切れそうだから,とりあえず相続放棄をしておこう。遺産の中身がわかって,やっぱり相続をしたいと思った場合は,相続放棄を取り消せばいい」というわけにはいきません。
この場合は,なるべく急いで遺産の調査を進めるべきですし,「時間が足りない」という場合は,家庭裁判所に「熟慮期間を延ばして欲しい」という申立を行うべきです。

(民法915条1項)
相続人は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に,相続について,単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
ただし,この期間は,利害関係人又は検察官の請求によって,家庭裁判所において伸長することができる。

(民法919条1項)
相続の承認及び放棄は,第915条第1項の期間内でも,撤回することができない。

(民法938条)
相続の放棄をしようとする者は,その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

(民法939条)
相続の放棄をした者は,その相続に関しては,初めから相続人とならなかったものとみなす。


(相続放棄についてのページ-裁判所HP)

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監修

弁護士髙木 紀子(たかぎ のりこ)

熊本県弁護士会所属 56期

依頼された事件を単に処理するだけではなく、依頼してくださる「あなた」の幸せを実現します! 「トラブル」の相手はご本人にとって非常に身近な人です。家族・親族が相手となると,どうしても「気持ち」に関わるところが前面に出てきます。でも,こういったお気持ちに関することを無視してしまうと,ご自身がどうしたいか,どんな形になれば「解決した」,「安心した」と言えるのかも見えず,法律上の問題を解決することもできなくなってしまいます。「この人になら,自分の気持ちを話してもいいかな」,「この人になら,『こうして欲しい』,『そのやり方はちょっと違うような気がする』と遠慮なく言えそうだな」,「わからないことがあっても,遠慮せず質問ができそうだな」と感じていただき,問題を解決する「心強い味方」になることができればと思っています。

関連URL: https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html

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