モラルハラスメントは離婚の理由になる? |熊本の離婚・慰謝料請求に強い女性弁護士

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モラルハラスメントは離婚の理由になる?

まず,配偶者の「モラハラ」がどういったものであろうと,客観的な証拠があろうとなかろうと,「もう無理。この人とは一緒に暮らせない」と思われるのであれば,離婚や別居を決意されるのは何ら問題ないかと思います。

「裁判になった場合に離婚が認められない」可能性が高いとしても,離婚や別居を「してはいけない」わけではありません。

といった話はひとまず措いて,法律の観点からはどうか?となると,民法770条1項5号「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかどうかが,問題となるでしょう。

(※ 民法770条1項は「相手が離婚を拒んでいても離婚できる」のはどういった場合かを定めています。これを「法定離婚事由」といい,その一つが「婚姻を継続し難い重大な事由」です。「法定離婚事由」については,2020年7月15日のブログ「相手が拒んでも離婚できるのは,どんな場合?」で説明しています)

「法定離婚事由」は,夫婦の片方が「離婚はしたくない」,「結婚生活を続けたい」と望んでいても,裁判所が離婚を命じることができる…というほどの事情なので,第三者が聞いても「それはひどいね…」,「そういう人と結婚生活を続けて行くのはたしかに難しいね」と感じるほどの言動がないと,「法定離婚事由あり」とは認めてもらえません。

また,「モラルハラスメント」というのは,身体的な暴力とは違って,それが本当に「ひどいもの」かどうか,簡単には判断できないことも多いです。たとえば離婚調停で,奥さんの側から「夫にこんなことを言われた。モラハラだ」と主張があったけれど,依頼者であったご主人からよく話を聞いてみると,むしろ奥さんの側から暴言や挑発的な発言があったり,時には暴力もあったりして,たまりかねたご主人がいわば「キレて」暴言を吐くこともあった(でも男性が暴力を振るのはいかなる場合もNGだと思っていたから,暴力は絶対に振るっていない)というお話で,奥さんも「夫が言うような言動をたしかに私はしたけれど,どういった経緯や事情があろうと,夫が妻にこういった発言をするのはモラハラでしょ!」とおっしゃり,「…」という雰囲気になったことがありました。

反対に,依頼者の方(妻の側)が離婚調停で「ちょっとしたことで夫が罵声を浴びせてくるんです」と発言しただけではあまり理解が得られなかったけれど,録音していた音源を聞いてもらったところ,夫が激怒した原因が非常に自分勝手な上,ものすごい怒鳴り声で,発言内容もひどすぎるということで,「こんなことが一回あっただけでも,私なら離婚する」,「随分耐えてきたのね」と共感してもらえたこともありました。このご夫婦間ではこういったことが何年も繰り返されてきたので,離婚訴訟でも離婚が認められています。

「挑発されたらひどい言動で返してもよい」というわけではありません。ただ,第三者が聞いて「お互い様のところもあるかな?」と感じるレベルであれば,「法定離婚事由」とは認められない…という趣旨です。

ただ,一つひとつを取り上げればそれほどレベルの高い(というのも変ですが)言動でなかったとしても,日常的に繰り返されていれば「耐え難い」ということにもなります。

そのため,モラルハラスメントの主張をする場合は,「いつ・どのようなシチュエーションで・どういったことを言われた,された」という事実関係を一つずつ具体的に提示することが重要です。

できれば,時系列に沿ってご自身でメモを作ってみるとよいでしょう。実際に裁判所に提出ということになれば,このメモに基づいて,弁護士が陳述書などを作成します。ご本人が「裁判所に提出できる内容と体裁」に作り上げる必要はなく,ご本人からヒアリングをして,不足する点は質問をして補い,文書そのものは弁護士が作成する(作成した文書はご本人に読んでいただいて,適宜修正や補足をする)というやり方で作成するので,「文章を書くのが苦手」,「他人にもわかってもらえるように説明する自信がない」という方でも大丈夫です。

そして,いつもお伝えするのですが,「弁護士に相談してみよう」とまで思い詰めていらっしゃるのであれば,その方にとっては相当に辛いのであり,配偶者の言動によってとても傷ついている,限界を感じているのだと思います。むやみに離婚を勧めるつもりはありませんが,「辛い」というお気持ちであれば,裁判で離婚が認められるほどの状況かどうか?はともかくとして,一度相談をしてみて,第三者からの意見を聞いてみたり,ご自身がどうしたいかをよく考えてみてよいと思います。

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この記事の作成者

弁護士髙木 紀子(たかぎ のりこ)

熊本県弁護士会所属 56期

依頼された事件を単に処理するだけではなく、依頼してくださる「あなた」の幸せを実現します! 「トラブル」の相手はご本人にとって非常に身近な人です。家族・親族が相手となると、どうしても「気持ち」に関わるところが前面に出てきます。でも、こういったお気持ちに関することを無視してしまうと、ご自身がどうしたいか、どんな形になれば「解決した」、「安心した」と言えるのかも見えず、法律上の問題を解決することもできなくなってしまいます。「この人になら、自分の気持ちを話してもいいかな」、「この人になら、『こうして欲しい』、『そのやり方はちょっと違うような気がする』と遠慮なく言えそうだな」、「わからないことがあっても、遠慮せず質問ができそうだな」と感じていただき、問題を解決する「心強い味方」になることができればと思っています。

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