電話 熊本県熊本市中央区花畑町1-7 MY熊本ビル3F (MAP) 

相続・遺言・離婚・借金問題を解決する熊本の「弁護士法人ときわ法律事務所」

相続・遺言・離婚・借金問題を解決する熊本の「弁護士法人ときわ法律事務所」

2020年06月26日 相続・遺言

遺産分割では,遺産(=亡くなった方の財産)はどれか?その「価額」はいくらなのか?をはっきりさせる必要があります。

遺産の「価額」は,相続が発生した日(=被相続人が亡くなった日)の「時価」です。 広辞苑で「時価」を引くと,「その時の相場。その時の市価」とあります。
預金であれば「亡くなった日の残高」,保険であれば「亡くなった日に解約した場合における解約返戻金の額」ということで簡単にわかります。
では,不動産の「時価」はどうやって調べたらよいのでしょうか?

1 国や地方公共団体が評価・公表している基準
① 固定資産税 不動産がある市町村の役場に行けば,亡くなった方名義の「固定資産評価証明書」を出してもらうことができます。これを見れば,「この市町村にある,亡くなった方名義の不動産」は全てわかりますし,不動産ごとの「固定資産税評価額」もわかります。
ただ,一般的にも「固定資産税評価額は時価の7掛け(時価の70%相当額)」などと言われているように,「固定資産税評価額」と「時価」とは異なります(一般的には時価よりも低い)。

② 路線価
相続税の申告を行う場合,申告書では遺産ごとに「いくら」と価額を明示します。 不動産については「路線価」をベースに「相続税評価額」が算出されます。
ただ,路線価もまた,「時価の8掛け(時価の80%相当額)」などと言われるとおり,「時価」とは別です。したがって,「相続税の申告書に載っている金額が不動産の時価だ」ということにもなりません。

③ 公示地価
国が公表している土地の価格(取引相場の基準となるような金額)です。
ただ,評価・公表があるのは各地の「標準地」の価格のみです。全ての土地について評価が行われているわけではないため,「遺産であるこの土地の公示地価はいくら」といった資料が取得できるわけではありません。

このように,「土地の価格」に関しては,国や市町村などが決定・公表している金額はあるものの,「これさえ見れば,遺産である不動産の時価がはっきりわかる」という唯一かつ争いようのない金額や資料というものが存在しません。

2 家庭裁判所では?
では,遺産分割の調停や審判では,どうなるでしょうか?
① 審判
当事者(相続人ら)が不動産の価額について争っている場合,裁判所が不動産の価額を決めます。裁判所が採用する不動産の価額は「時価」ですが,「1」のとおり,時価は予め評価・決定・公表されているわけではありません。そのため,専門家である不動産鑑定士に「鑑定」をお願いすることになります。
鑑定の費用は,当事者が負担します(当時者が合意できれば,遺産である預金を一部解約し,ここから支払うことも考えられます)。この費用は,不動産の筆数などにもよりますが,一般的に100万円前後と非常に高額です。
 
② 調停
調停では,当事者(相続人)が互いに譲り合い,合意することを目指す場なので,裁判所が「こうしなさい」,「このように考えなさい」と積極的に指示をすることは基本的にありません。不動産の価額について「固定資産税評価額に従おう」,「相続税の申告をしているから,申告書に書かれている金額で計算しよう」と全員が合意できれば,それで済みます。
不動産の価額が争われ,当事者が「裁判所に決めてもらいたい」と希望することもよくありますが,裁判所が判断する上では「鑑定」が必須であり,「鑑定」には①のとおり高額な費用がかかるため,「それも嫌だ…」となって,どこかで折り合いがつくことが殆どと言えます。
たとえば,遺産である不動産は自宅のみ(築30年を超えた建物と底地)といったケースで,裁判所から以下のような考え方が示され,基本的にこれに従う形で調停が成立したことがあります。
・建物
 0円。一般的に「築25年を経過すると価値なし(0円)」とされるため
・土地
 固定資産税評価額を0.7で割り戻した金額。一般的に「固定資産税評価額は時価の7掛け」と言われることから

※ あくまでも,実際に行われた調停において,その他の事情も考慮した上で示された判断の一つであり,「調停では必ずこのように決まる」ということではありません。あくまでも「こういったケースがあった」という程度にご参照ください。
 
通信中です...しばらくお待ち下さい