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相続・遺言・離婚・借金問題を解決する熊本の「弁護士法人ときわ法律事務所」

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2020年07月03日 相続・遺言

(遺産分割調停のやり直し!?)
昨年ようやく成立した遺産分割調停の案件で,今になって相手方Aが「相手方Bは相続放棄をしていた。その書類が出てきた」と言い出しました。
「どちらも相手方で依頼者でないなら,どうでもいいじゃないか」,「相手方Bに相続の権利がないなら,依頼者の取分も増えて,むしろよいニュースでは」となりそうですが,相手方Bが相続を放棄していれば,相続人ではない相手方Bを当事者の一人として成立した遺産分割調停は,全て無効になってしまいます。もう一度,遺産分割調停をやり直さなければなりません。

(実際に出てきた書類)
しかし,実際にその書類を見てみると,家庭裁判所で相続放棄をしたわけではなく,相手方Bが「相続の権利を全て放棄します」と書いた手紙で,しかも,その日付は被相続人が亡くなる10年ほど前のものでした。

(亡くなる前の相続放棄や遺産分割協議は無効)
「相続」というのは,財産を所有しているご本人(被相続人)が亡くなってはじめて発生します。
被相続人が生きている間は相続の権利も「ない」ので,ないものについて放棄をすることも,できません。
「揉めないように」という観点からは,ご本人が生きている間に,ご本人も交えて「この財産は誰が相続する」といった話し合いをすることも「あり」かもしれませんが,ご本人と推定相続人(=ご本人が亡くなった場合に相続人となる人)の全員で「遺産分割協議書」を作成しても,法律上は無効です。「あの時みんなで話し合って決めたじゃないか」と気持ちに訴えることはできますが,裁判所では通りません。
したがって,被相続人が生きている間に,その推定相続人に「相続を放棄します」と書いてもらい,サインや印鑑をもらったとしても,無効です。実印を押している,印鑑証明書をもらった,全て手書きであるといったことは,全く意味がありません。
こういった文書を作成し,渡していても,実際に被相続人が亡くなった後は,何ら問題なく相続の権利を主張し,遺産分割に参加することができます。

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監修

弁護士髙木 紀子(たかぎ のりこ)

熊本県弁護士会所属 56期

依頼された事件を単に処理するだけではなく、依頼してくださる「あなた」の幸せを実現します! 「トラブル」の相手はご本人にとって非常に身近な人です。家族・親族が相手となると,どうしても「気持ち」に関わるところが前面に出てきます。でも,こういったお気持ちに関することを無視してしまうと,ご自身がどうしたいか,どんな形になれば「解決した」,「安心した」と言えるのかも見えず,法律上の問題を解決することもできなくなってしまいます。「この人になら,自分の気持ちを話してもいいかな」,「この人になら,『こうして欲しい』,『そのやり方はちょっと違うような気がする』と遠慮なく言えそうだな」,「わからないことがあっても,遠慮せず質問ができそうだな」と感じていただき,問題を解決する「心強い味方」になることができればと思っています。

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