2020年08月21日 離婚・親権
目次
裁判で「不貞」を認定してもらうために提出する証拠としては,どんなものがあるでしょう?
以下のようなものが考えられます。
以下のようなものが考えられます。
- 不貞とは?
- 既婚者(配偶者のある人)が,配偶者以外の異性と,性的な関係を持つこと。
この「性的な関係」というのは,セックスなど,性的な意味合いのある身体的な接触を持っていることを意味します。
「恋愛感情があり,二人だけで会ったり,『好きだ』といったメールやLINEを送り合っている。しかし肉体関係は一切ない」という場合,「不貞」には当たりません。
- 「不貞」があったかどうか?が問題となるのは,どういった場合?
- 離婚(①)や慰謝料請求(②)です。
① 法定離婚事由 「離婚裁判においてこのような事実が認められれば,たとえ相手が離婚を拒んでいても,裁判所は離婚の判決を出せる」事情のこと。不貞はその一つです。
② 慰謝料請求 夫婦は互いに「配偶者以外の異性とは性的な関係を持たない」という貞操義務を負っています。配偶者ではない異性と性的な関係を持った場合,①の「法定離婚事由」が認められるだけでなく,慰謝料を支払うことになるかもしれません。
また,既婚者と性的な関係を持った場合,この人(いわゆる「浮気相手」)にも,慰謝料の支払義務が生じる可能性があります。
- 配偶者ではない異性との間で以下のようなことをしている場合,「不貞」にあたる?
・二人きりで食事をする
・頻繁に電話で話している
・LINEやメールを頻繁にやり取りしている
・その中で「好きだ」,「付き合おう」,「結婚しよう」などと言い合い,約束をしている - 「性的な関係」はなしで,Qにあるような行為のみであれば,「不貞」には当たりません。
ただし,こういったことにかまけて家庭をないがしろにしている場合,「不貞」はないとしても,「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして,裁判での離婚が認められる可能性は,あるかもしれません。
相手の異性との関係でも,積極的に誘い,「離婚して欲しい」と求めるなど,結婚生活を壊すような働きかけをしている場合には,慰謝料の支払義務が認められる可能性があります。
- 配偶者が風俗に行き,お金を払って性的なサービスを受けた場合,これは「不貞」にあたる?
- この場合,何らかの「性的な関係」が持たれているはずですが,法定離婚事由としての「不貞」にあたるかどうかは,具体的な事情によって判断が別れるようです。
なお,配偶者から「風俗は絶対に行って欲しくない。絶対に受け入れられない。もし行った場合はどういった事情があっても夫婦関係は続けられない」などと予め言われていたような場合,「不貞」にはあたらないとしても,「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして,離婚が認められる可能性は,あるかもしれません。
仕事として「性的な関係」を持った相手(風俗嬢)に対し,不貞の慰謝料を請求できるか?となると,こちらは「難しい」と考えた方がよさそうです。
監修
弁護士髙木 紀子(たかぎ のりこ)
熊本県弁護士会所属 56期
依頼された事件を単に処理するだけではなく、依頼してくださる「あなた」の幸せを実現します! 「トラブル」の相手はご本人にとって非常に身近な人です。家族・親族が相手となると,どうしても「気持ち」に関わるところが前面に出てきます。でも,こういったお気持ちに関することを無視してしまうと,ご自身がどうしたいか,どんな形になれば「解決した」,「安心した」と言えるのかも見えず,法律上の問題を解決することもできなくなってしまいます。「この人になら,自分の気持ちを話してもいいかな」,「この人になら,『こうして欲しい』,『そのやり方はちょっと違うような気がする』と遠慮なく言えそうだな」,「わからないことがあっても,遠慮せず質問ができそうだな」と感じていただき,問題を解決する「心強い味方」になることができればと思っています。