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相続・遺言・離婚・借金問題を解決する熊本の「弁護士法人ときわ法律事務所」

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2020年04月12日 相続・遺言

1 公正証書遺言を作成するメリット
「遺言を作りたい」というご相談をお受けした場合,「公正証書遺言」の形で作成することをお勧めしています。
公証人に「自分の財産はこのように遺したい」と考えを伝え,これに基づいて公証人が文章を作成するため,「明らかに自分の意思ではなく言わされている」,「どの財産を誰に遺したいといった判断ができる状態ではない(重度の認知症など)」といった場合,公証人から遺言の作成をお断りされるのが通常です。そのため,後になって「遺言を作れるような判断能力はなかったはず」,「誰かにそそのかされたり,強迫されて作ったのではないか」といった問題が生じる余地が,かなり少なくなります。
また,「法律上は認められないような内容の遺言になってしまう」,「形式的なミスによって,せっかく作った遺言が無効になってしまう」といった問題も,クリアできます。
トラブルが生じるリスクが少ないため,銀行など第三者も安心でき,解約や払戻といった手続がスムーズに進むというメリットもあります。

2 自筆証書遺言
とはいえ,新型コロナウイルスへの感染予防のために不要不急の外出を控える中,「遺言を作るために外出するのはちょっと…」とためらわれる方も多いでしょう。高齢の方であればなおさらかと思います。
こんな場合,「自筆証書遺言」を作成しておいてもよいかと思います。

法律上有効な「自筆証書遺言」として認められるためには,以下の条件を満たしていることが必要です。
・文章が全て自筆で書かれていること(※「財産目録」のみ例外)
・日付の記載があること
・署名があること
・押印があること

全て自分で書かなければならないというのが,一番大変なところです。
また,削除や訂正がある場合,その箇所に線を引いて押印し,さらに,文末や欄外などに「どの部分にどのような訂正をしたか」を具体的に記し,その部分にも(上記の署名とは別に)署名をすること!という決まりもあります。これに反した場合,訂正はなかったものと扱われたり,訂正した部分や訂正の仕方によっては,遺言全体の有効性が危うくなってしまうということも考えられます。そのリスクを考えると,書き間違った場合や,一部訂正したいとなった場合などは,いったん破棄して,もう一度はじめから書き直すのが安全です。

※ 財産目録
財産目録だけは,パソコンで作成してプリントアウトしたものをつけたり,別の人に作成してもらうといったことが,できるようになりました。
目録があれば,遺言本文では,いちいち「〇〇銀行〇〇支店の普通預金,口座番号〇〇〇〇」といったことを書かなくて済みます。「財産目録1の預金は,長男〇〇に相続させる」というように,「財産目録」から引用する書き方でOKです。
なお,自筆ではない「財産目録」をつける場合は,「財産目録」にも,遺言者本人が署名と押印を行う必要があります。
遺言本体と「財産目録」がばらばらにならないように,また,後になって誰かが別の「財産目録」に差し替えてしまう…といったリスクを回避するために,遺言本体と「財産目録」とはステープラーでとめたり製本した上で,契印もしておいた方がよいでしょう。

3 特別な方式の遺言
病気等で生命の危機があり,通常の方法で遺言を作っていては間に合わないという場合,「危急時遺言」という特別な方式の遺言を作ることができます。
伝染病のため,行政処分によって交通を断たれた場所にいる人は,「伝染病隔離者の遺言」という,やはり特別な方式の遺言を作ることができます。

「危急時遺言」は,「遺言者が話したことを書きとってもらう」という方法をとることができるのですが,証人3名が必要です。
「伝染病隔離者の遺言」は,警察官1人,証人1人以上の立ち合いが必要です。
そして,遺言者の推定相続人(配偶者や子など),遺言によって財産を遺そうとしている方などは,証人になることができません。

感染拡大を防止するために,できる限り人との接触を控えている状況で,身近な家族や財産を遺そうと考えているような方「ではない人」に,「遺言を作りたいので来て欲しい」とは,なかなか頼めないだろうと思いますし,頼まれた方も躊躇されるでしょう。

判断能力があり,自分で文字を書くこともできるような状態であれば,電話やメールを利用して弁護士に相談・依頼をされ,有効な「自筆証書遺言」の作成に取り組む方が,現実的かもしれません。
弁護士に希望を伝える
→弁護士において必要な書類を取得し,文案を作成して,遺言者にメール送付(財産目録は郵送,またはメール送付したものを遺言者においてプリントアウト)
→必要があれば内容を調整
→遺言者は弁護士作成の文案をなぞる形で自筆で遺言をしたためる
→署名押印などがきちんとされているかどうかは,遺言者の方から弁護士に写真データを送ったりスカイプ等を利用して確認

といったやり方であれば,接触することなく,有効な「自筆証書遺言」を作成できるかと思います。


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監修

弁護士髙木 紀子(たかぎ のりこ)

熊本県弁護士会所属 56期

依頼された事件を単に処理するだけではなく、依頼してくださる「あなた」の幸せを実現します! 「トラブル」の相手はご本人にとって非常に身近な人です。家族・親族が相手となると,どうしても「気持ち」に関わるところが前面に出てきます。でも,こういったお気持ちに関することを無視してしまうと,ご自身がどうしたいか,どんな形になれば「解決した」,「安心した」と言えるのかも見えず,法律上の問題を解決することもできなくなってしまいます。「この人になら,自分の気持ちを話してもいいかな」,「この人になら,『こうして欲しい』,『そのやり方はちょっと違うような気がする』と遠慮なく言えそうだな」,「わからないことがあっても,遠慮せず質問ができそうだな」と感じていただき,問題を解決する「心強い味方」になることができればと思っています。

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