2022年05月10日 遺産分割
Nさんは、2人姉妹の妹です。
Nさんは、関東の大学に進学し、そのまま関東で就職、結婚もしています。Nさんのお姉さんは、地元で就職、結婚をして、ご実家の近くに住んでいました。
20年ほど前にお父さんが亡くなった後、お母さんはご自宅で暮らしていましたが、10年ほど前、一人暮らしが難しくなって施設に入りました。この際、お母さんの預金通帳などはNさんのお姉さんが預かり、施設への支払はお母さんの預金口座から引き落とされるよう手続がとられました。
お母さんが亡くなると、お姉さんからNさんに以下のような手紙が届きました。
・実家の不動産はリフォームをして私が住む。お母さんは生前、家は私にくれると言っていた。
・お母さんの預金は1000万円あるが、お母さんが施設に入った後、私がお母さんのために立て替えたお金が1000万円ほどあるので、預金から立替金を返してもらう。そうすると預金は全く残らないことになるが、Nさんには100万円を渡す。
Nさんは、ご自身が遠方に住んでいた分、「両親の面倒は姉がみてくれた」、「姉にばかり負担をかけてしまった」という思いがありました。また、今後も熊本に戻る予定はないため、ご実家をお姉さんが相続して住むことには、全く異論はありませんでした。
ただ、施設に入ったころ、お母さんはNさんに「月々の支払は遺族年金で十分に賄えるし、預金も1500万円あるから、お金の心配はいらない」と話していました。施設費は口座引落ですし、それとは別に1500万円(お母さんの預金から500万円とお姉さんの立替で1000万円)もお金を使うような場面があったとは思えません。Nさんはお姉さんに「立替金の内訳を教えて欲しい」と求めたのですが、お姉さんは「何もしなかったあなたにどうしてそんなことを言われなきゃいけないの?」と怒り、その後Nさんからの連絡に応じることはなくなりました。
ご自身で対応していくことに限界を感じたNさんは、「調停や審判となれば熊本で行うことになるだろうし、それならば熊本の弁護士がよいだろう」と考え、当事務所に依頼をされました。
熊本家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てたところ、お姉さんは「お母さんのために立て替えた」と主張されるお金について一覧を提出され、その一部については領収証もありました。
ただ、お母さんの預金口座からは、毎月数十万円のお金がおろされていました。通帳やキャッシュカードを持っていたのはお姉さんなので、口座からお金を引き出したのは間違いなくお姉さんです。「お母さんのための支払は、お母さんの預金で十分に賄えたのでは?」、「もしお姉さんが立て替えたとしたら、お母さんの口座からおろしたお金はどこに残っていますか?あるいは、何に使ったのでしょう?」と尋ねましたが、回答はありませんでした。
納得できない気持ちを抱えたNさんは、一時は「お母さんの口座から引き出されたお金の返還を求めて訴訟をしたい」とおっしゃったこともありましたが、最終的には「不動産はお姉さん、預金はNさんが取得する」という内容で遺産分割調停が成立しました。
(当時を振り返って)
Nさんとしては「姉の主張は不合理で納得ができない。事実を解明したい」というお気持ちとともに、「母のことは姉がほぼ一人でみてくれたのだから、遺産を半分もらおうとは思わない。納得のいく説明さえしてくれたら、姉の提示どおりでも構わないのに」というお気持ちがありました。しかし、姉妹の関係は拗れてしまっていて、Nさんが本心を伝えているつもりでも、お姉さんにはなかなか伝わりません。お二人のお気持ちはそれぞれに伺いつつも、「調停」という場ですから、「審判や訴訟になれば、裁判所はどのように判断するか」を指針として、お互いに譲り合う結果となりました。
「預金口座を確認したら残高が殆ど0円だった。まとまった額の預金があったはずなのにおかしい」、「口座の履歴を取り寄せてみたら、何度も大金が引き出されていた。本人が使ったとは思えない」といったご相談や、逆に「お金を取り込んだと疑われ、責められている」といったご相談は、よくお受けします。 この件については、「遺産分割」という枠組みの中で解決ができるか?といった手続上のことを含め様々な問題があるため、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
Nさんは、関東の大学に進学し、そのまま関東で就職、結婚もしています。Nさんのお姉さんは、地元で就職、結婚をして、ご実家の近くに住んでいました。
20年ほど前にお父さんが亡くなった後、お母さんはご自宅で暮らしていましたが、10年ほど前、一人暮らしが難しくなって施設に入りました。この際、お母さんの預金通帳などはNさんのお姉さんが預かり、施設への支払はお母さんの預金口座から引き落とされるよう手続がとられました。
お母さんが亡くなると、お姉さんからNさんに以下のような手紙が届きました。
・実家の不動産はリフォームをして私が住む。お母さんは生前、家は私にくれると言っていた。
・お母さんの預金は1000万円あるが、お母さんが施設に入った後、私がお母さんのために立て替えたお金が1000万円ほどあるので、預金から立替金を返してもらう。そうすると預金は全く残らないことになるが、Nさんには100万円を渡す。
Nさんは、ご自身が遠方に住んでいた分、「両親の面倒は姉がみてくれた」、「姉にばかり負担をかけてしまった」という思いがありました。また、今後も熊本に戻る予定はないため、ご実家をお姉さんが相続して住むことには、全く異論はありませんでした。
ただ、施設に入ったころ、お母さんはNさんに「月々の支払は遺族年金で十分に賄えるし、預金も1500万円あるから、お金の心配はいらない」と話していました。施設費は口座引落ですし、それとは別に1500万円(お母さんの預金から500万円とお姉さんの立替で1000万円)もお金を使うような場面があったとは思えません。Nさんはお姉さんに「立替金の内訳を教えて欲しい」と求めたのですが、お姉さんは「何もしなかったあなたにどうしてそんなことを言われなきゃいけないの?」と怒り、その後Nさんからの連絡に応じることはなくなりました。
ご自身で対応していくことに限界を感じたNさんは、「調停や審判となれば熊本で行うことになるだろうし、それならば熊本の弁護士がよいだろう」と考え、当事務所に依頼をされました。
熊本家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てたところ、お姉さんは「お母さんのために立て替えた」と主張されるお金について一覧を提出され、その一部については領収証もありました。
ただ、お母さんの預金口座からは、毎月数十万円のお金がおろされていました。通帳やキャッシュカードを持っていたのはお姉さんなので、口座からお金を引き出したのは間違いなくお姉さんです。「お母さんのための支払は、お母さんの預金で十分に賄えたのでは?」、「もしお姉さんが立て替えたとしたら、お母さんの口座からおろしたお金はどこに残っていますか?あるいは、何に使ったのでしょう?」と尋ねましたが、回答はありませんでした。
納得できない気持ちを抱えたNさんは、一時は「お母さんの口座から引き出されたお金の返還を求めて訴訟をしたい」とおっしゃったこともありましたが、最終的には「不動産はお姉さん、預金はNさんが取得する」という内容で遺産分割調停が成立しました。
(当時を振り返って)
Nさんとしては「姉の主張は不合理で納得ができない。事実を解明したい」というお気持ちとともに、「母のことは姉がほぼ一人でみてくれたのだから、遺産を半分もらおうとは思わない。納得のいく説明さえしてくれたら、姉の提示どおりでも構わないのに」というお気持ちがありました。しかし、姉妹の関係は拗れてしまっていて、Nさんが本心を伝えているつもりでも、お姉さんにはなかなか伝わりません。お二人のお気持ちはそれぞれに伺いつつも、「調停」という場ですから、「審判や訴訟になれば、裁判所はどのように判断するか」を指針として、お互いに譲り合う結果となりました。
「預金口座を確認したら残高が殆ど0円だった。まとまった額の預金があったはずなのにおかしい」、「口座の履歴を取り寄せてみたら、何度も大金が引き出されていた。本人が使ったとは思えない」といったご相談や、逆に「お金を取り込んだと疑われ、責められている」といったご相談は、よくお受けします。 この件については、「遺産分割」という枠組みの中で解決ができるか?といった手続上のことを含め様々な問題があるため、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。